今回は、御嵩に話が伝わる妖怪を紹介します。御嵩に伝わる話を集めた『じいさまから聞いた話』や『御嵩町史』には特定の場所に出現した妖怪の話が収録されており、地域の魅力の一つとして紹介したいと思います。
関の太郎
鎌倉時代、現在の鬼岩には「関の太郎」と呼ばれる鬼が住んでいました。関の太郎は御嵩の市場を荒らすなどして地元住民を苦しめていましたが、捕らえようとしても空を飛んで逃げてしまうため、手の施しようがありませんでした。
当時の領主に助けを求めると、関の太郎を討伐すべく4人の家臣が遣わされました。しかし、家臣たちの力をもってしても鬼を捕らえることはできません。そこで神仏の力を借りるため、4人は願興寺の薬師堂に籠って薬師如来に祈願しました。すると、家臣の1人の夢に薬師如来が現れ、「我がすでに彼を縛り置いたので安心して討伐せよ」とのお告げがありました。
お告げを受けた4人は、近く開催される祭礼の市場で鬼を討ち取る計画を立てました。祭礼当日、市場の入口に関所を設けて来訪者の出身地を確かめ、身元が明らかな者だけに手に印をつけて通しました。何も知らない関の太郎は美少年に化けて関所を通ろうとしましたが、出身を問い詰められ、誤魔化しきれなくなります。たまらず空を飛んで逃げようとしましたが、薬師如来の力によって飛ぶことができず、その場で討ち取られました。
その後、鬼の首は都へ運ばれることになりましたが、移動の途中で首が重くなり、動かすことができなくなったため、その場に埋められました。埋められた場所は御嵩町中地区にあり、現在も「鬼の首塚」として残っています。
とちかんべ
可児川にある「椀が渕」と呼ばれていた渕に「とちかんべ」というものが出ると言われていました。この妖怪は水遊びをしている子どもを渕の底へ引き込み、「尻のこ」を抜くとされています。
この妖怪の詳細は不明ですが、中部地方ではスッポンを「トチ亀」と呼ぶ風習があり、『御嵩町史 民俗編』にも「とちかんべ(すっぽん)」という記述が見られます。このことから「とちかんべ」は噛みつく危険のあるスッポンや、渕という溺れやすい環境から子どもを守るために生まれた妖怪かもしれません。
なお、平成5年の工事で「椀が渕」は無くなってしまいました。
天狗
御嵩町のとある松の木には「天狗の腰かけ松」と呼ばれるものがありました。この松の木は現存していませんが、実際に天狗が枝に腰かけていたとされています。
この天狗は御嵩の人には反応せず、旅人が松の下を通りかかった時に鳥の羽で作ったうちわで大風を起こし、慌てふためく様子を見て雷のような大声で笑ったそうです。
問い合わせ
生涯学習課 文化振興係 担当:勝川
☎67-7500(中山道みたけ館)
