6月14日、タカトリグループホールディングス白壁ホールにて行われたうきは市青少年弁論大会。15名の弁士が犯罪や非行のない明るい社会を築くために、それぞれが体験したことや日頃感じていることなどを発表しました。その中で、最優秀賞と優秀賞に選ばれた3名の弁論を8月号から10月号にわたって紹介します。
未来へつながる1から0
高校3年生 谷川さん
みなさんは、今政治について、どのような考えを持っていますか。「どーせ変わらん、誰がしても一緒。」選挙の話題になると、私の周りでも、そのような声を耳にすることがあります。私は以前まで、それはただの無関心だと思っていました。しかし、今は少し違う考えを持っています。
現在、日本では、政治について話すことを避ける空気があります。家庭でも、学校でも、政治の話になると「触れにくい話題」として終わってしまうことも少なくありません。特に若者の政治離れは深刻な問題です。実際、若者の投票率は低く、十八歳に選挙権が導入されて以降、最初の福岡県知事選挙では29・5%あった投票率も、現在では25・0%まで落ち込んでいます。
しかし私は、その原因を単純に「若者の意識が低いからだ」と片付けるべき問題ではないと思います。私たちは小学生の頃から、政治について学んでいます。三権分立や選挙制度、憲法に法律。しかし、「なぜ意見が分かれるのか」「自分ならどのような社会を目指すのか」「どの党に投票するか」などを考える機会は多くありません。知識として覚えることはあっても、自分の言葉で考え、議論する機会が少ないのです。このように、政治に対して自分の考えを持つ機会が少なく、そのままおとなになっても政治に関心が持てず、自ら一票を0にしてしまうのです。
選挙とは自分たちの暮らしや、国の行く先を、「こうあってほしい」と示し、自分の考えを届ける貴重な機会です。そのため、選挙で投票することは私たち国民の義務なのではないかとも思います。
ですが、投票は必ず行かないといけないのでしょうか?私たちの一票にどんな価値があるのでしょうか?実際に私は今普通に生活ができています。ご飯も食べられるし、学校にも通える。友達と遊びに行くこともできる。このように、当たり前の生活ができている。だから私は、投票に行かないことを必ずしも否定することはできません。政治を常に意識せずとも、毎日学校へ通い、食事をし、安心して文化的な生活を送ることができる。それは、日本という国が安定した国家社会である証だともいえます。
一方世界には、政治の混乱によって、日々の生活そのものが脅かされる国や、そもそも自由に政治へ参加することが難しい国もあります。例えばベトナムでは、一党独裁の政治体制が続いています。日本のように複数の政党から自由に政権を選ぶ方法とは異なり、政治に対する選択肢は極少数に限られています。また隣の中国では、国のトップを国民が直接選挙で選ぶ制度ではなく、国自体が一つの党によって監視されています。私は、それらの国が良い、悪いと言いたいわけではありません。ただ、日本では、自分の意思で政党や個人、政策を選び、社会に対して意見を示すことができる。さらに「政治を強く意識せずに安心して暮らせる」のです。それは日本が平和で安定した国家社会だからこそできる特別なことなのです。しかし、その社会は、誰かが政治に関心を持ち、支えているからこそ何年も何十年も成り立っている。私たちには、この社会を未来へつなげる『志命』があることを忘れてはいけません。
もしも国民全体が、「どうせ無理、変わらない」と考え、その一票を手放し、0にしてしまえば、今後の社会を決めるのは、一部の声だけになり、知らない間に国民の生活が脅かされるかもしれません。その国民の中には、私も、そしてみなさんも入っています。だからこそ、今、もう一度政治に向き合い、考えなければいけないときが来ています。そのために私は情報が必要です。ここでみなさんに質問です。みなさんは、どのような手段で情報を集めますか?真っ先に思いつくのは、SNSではないでしょうか。近年、SNSやインターネットが普及し、誰もが簡単に政治情報を目にできるようになりました。しかしその一方で、短い言葉や刺激的な映像だけが切り抜かれ、拡散され、感情だけで政治が語られる。そんな場面も増えたように感じます。SNSは自分と同じ意見ばかりが流れてくるフィルターバブルというものがあり、知らないうちに考えが偏ってしまうこともあります。
そんな情報社会の中、私達に求められているのは、誰かの意見をそのまま信じるのではなく、様々な情報と比較し、自分なりの考えを持つことです。そのためには「自分で考える力」が必要です。その上で、一票を投じることが今の平和を未来へつなげるための大切なことではありませんか?みなさんが有権者としての意識を持ち、政治を自分事として考える、そんな人が一人でも多く増えることによって、今日の「政治を忘れて暮らせる生活」を未来へとつなげていけるのです。
選挙とは、ただ紙に名前を書き箱に入れるという簡単な行為ではありません。それは、自分たちの未来を、人任せにしない、「こうあってほしい」という意思表示なのです。私は、すべての人が同じ考えや同じ政治思想を持つ必要はないと思います。政治に強く関心を持つ人もいれば、そうではない人もいる。けれど、一人でも多くの人が、自分たちの暮らしや未来を考え、日本という社会に参加しようとすること。その一人ひとりの積み重ねこそが、これからの未来をつくっていくのではないでしょうか。
私はこの間誕生日を迎え、有権者となりました。一人の有権者として自分の意思で考え、選び、声を届けることを大切にしていきたい、政治に向き合い、積極的に選挙に参加していきます。本日ここにお集まりのみなさんも、どうかもう一度向き合ってみませんか。未来につながるはずだった「1」を、みずから「0」にしてしまわないために。
