町立病院の未来を、どう描くのか。令和10年度の新病院開院を見据え、この4月に新たに院長を迎えた緑ヶ丘病院。町長と新院長が、いま取り組むべき「足元の改善」から「これからの地域医療のあり方」までを熱く語り合いました。
糸田町長 森下 博輝 × 糸田町立緑ヶ丘病院院長 稲田 啓介


新院長を迎えて
ー地域医療への想いが響き合うー
町長:ようやく実施設計が終わり建設費約46億円を9月議会に上程しました(9月18日議決予定)。町として財政的な痛みは伴いますが、誰もが住み慣れた町で最期まで安心して暮らせるよう「地域包括ケアシステムの中核となる病院」を目指し建替えをおこなうためのものです。令和10年度の新病院開院を見据えた体制づくりを進める中で、稲田院長をお迎えできたことは誠に心強く思っています。
院長:光栄です。赴任を決めた理由は「この病院を本気で良くしたいと願う人たちがいたから」です。就任前に二度足を運び、地域医療への強い想いに触れ「ここなら地域に寄り添う良い病院をつくれる」と確信しました。

最適化された「60床」
ー治す医療だけでなく、支える医療へー
町長:町長拝命時の令和元年当時79床での建替え計画で進んでいましたが、地方病院を取り巻く環境が厳しく、総合的視点もないことから一旦立ち止まりました。その後、コロナ禍での小中学校などのPCR無料検査実施など、町立病院がある優位性を感じる中、これからの時代に求められる医療環境の刷新や効率的な医療ネットワークの構築において限界を痛感し、ゼロから考え直すため、専門家による検討委員会を立ち上げ基本構想を策定し今に至っています。
院長:だからこそ地域のニーズに合った、個室率の高い「コンパクトな病院」は住民にとって大きなメリットです。病床は1病棟60床へ再編しますが、単なる縮小ではありません。近隣とすべて同じ機能を担うのではなく、互いの強みを活かして役割を分担していきます。
町長:おっしゃるとおりです。「経営が厳しい中で規模の縮小や先送りを」との声は、痛いほど承知しています。ですが先送りは将来の医療体制の崩壊を招き、町民の生活基盤そのものを揺るがしかねません。令和4年度に過疎地域の認定を受け、有利な起債が使えるようになったことも後押しになりました。
院長:小規模病院の強みは、病気を抱えながら暮らす患者や家族の生活まで含めて伴走する「支える医療」です。すでに地域包括ケア病床を設置し、訪問診療も強化しています。高齢者救急や小児科のかかりつけ機能など、日常生活に直結した機能へシフトしているところです。
医療・福祉・介護をつなぐ
ー実践的な地域包括ケアー
院長:重要なのは、医療と福祉・介護のシームレスな連携です。小規模自治体ならではのフットワークの良さを活かし、地域と一体となった地域包括ケアを実践していきます。そのために必要なリハビリ職員も増員しています。
町長:同感です。他施設や行政との連携も重要になります。医療の知見を活かしたまちづくりを、町としても全力でサポートします。

人を育てる病院へ
ー次世代の医療人材を見据えてー
院長:今後の課題は、若い世代が活躍できる病院にすることです。学生や研修医を受け入れ、その活気で病院全体を活性化させたいと考えています。20年後、30年後の地域医療を担う人材をこの町で育て、その風土で医療水準を高めていきたいと考えています。
町長:院長の病院に対する思い入れが強く、ありがたいことです。また、将来構想だけでなく、現時点でも病院活性化について、様々な取り組みを始めているとお聞きしています。病院が活性化することで、職員の意識改革や経営改善、ひいては住民福祉の向上にもつながりますので、大いに期待しています。
建替えを待たない
ー「いま、ここから」できることー
院長:新病院建設は、確かに大きな希望です。しかし「箱」が立派になっても、その中で働く私たちの「心」が変わらなければ本当の新病院とは言えません。そこで倫理委員会や広報委員会、研修委員会などの立ち上げや職員の意識改革をおこない、院内の掲示物や掃除など身近な環境整備から取り組んでいます。
町長:院長が赴任以来、病院改革に取り組んでいただいており感謝申し上げます。職員の意識改革は必要不可欠です。令和5年3月の基本構想策定時に、新病院建設に向けて、職員一人ひとりが経営感覚を持って、取り組んでいくようお願いしました。院長の下、職員の意識改革にとどまらず職場環境にも配慮した組織づくりを考えていただき、大変頼もしく思っています。
院長:職員がここで働く誇りと生きがいを持てる組織風土を築き、「町民も医療従事者も、みんなが幸せになる地域医療」をこの町で実現したい。完成時には、中身も生まれ変わった病院をお見せします。
町長:住民の生活の質や幸福度向上のための地域医療を目指して、一緒に頑張りましょう。誰もが健やかに暮らせる町づくりを推進するため、「地域包括ケアシステム」の中核としての新病院は必要なことであります。今後、住民説明会などを通じ、住民のご理解をいただけるよう丁寧に説明していきます。その時は、どうぞよろしくお願いします。
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↑新病院の内観イメージ(総合待合)


