「目に見えないところにこそ、大切な思いがある」
まちづくりというと、道路や施設の整備など、目に見えるものに注目が集まりがちです。しかし、本当に豊かなまちをつくっているのは、それだけではありません。地域を支え、誰かのために汗を流し、目立たない場所でそれぞれの役割を果たしている多くの人々の存在があります。私は、目に見えないところにこそ、まちの本当の力と大切な想いがあると感じています。
地域を見渡せば、防災や防犯、子どもの見守り、福祉、地域活動など、さまざまな分野で多くの方々が力を尽くしてくださっています。その一つ一つは決して華やかなものではないかもしれません。しかし、それぞれが「一隅を照らす」ように、自分にできることを黙々と続けてくださっているからこそ、私たちの暮らしは支えられ、地域の安心と温かさが守られています。
富士山宝永噴火の後、この地域では、火山灰に覆われた土地を再び耕せるようにするため、「天地返し」が行われました。先人たちは、荒れ果てた土地を前にして諦めることなく、土を掘り返し、長い時間をかけて未来を取り戻しました。その営みの根底には、自分たちの暮らしを守り、次の世代へ故郷をつなぎたいという、強い想いがあったことでしょう。
現代のまちづくりもまた、一部の人だけで成し遂げられるものではありません。行政がすべてを担うこともできなければ、住民の皆さんだけに負担をお願いすることもできません。それぞれが異なる立場や役割を理解し、互いを尊重しながら知恵と力を持ち寄ることが必要です。
大切なのは、誰が一番目立つかではなく、自分らしい形で地域を支えている誰かの努力に誰もが気づいてあげられることではないでしょうか。そして、その努力に気づき、「ありがとう」と言い合えることではないでしょうか。
目に見えないところにある努力や思いを大切に感じられるまち。互いの違いを認め、それぞれの立場を尊重しながら、ともに未来を築いていくまち。一人一人が一隅を照らす小さな灯火であっても、その灯が集まれば、まち全体を明るく照らす大きな光になります。目に見える成果だけではなく、人の思いとつながりを大切にすること。それこそが、これからのまちづくりに求められる最も大切なことだと、私は信じています。
