病気が長く続いた人が、急に変わったことを言い出すことがありました。家族に向かって、まるでお客さまに話すように、たいへんていねいな言葉を使うのです。
自分の孫に、「こちらのお孫さまは……」、など話しかけることもありました。また、「わたしは、あの山から来ました」などと、家族にはわからないことを言うこともありました。
すると、まわりの人たちは、「これはおかしい。狐がついたのではないか」と考えました。
それまで食べなかった魚を、急に好んで食べるようになったり、目の様子が変わったり、食べ物をたくさん食べるようになったりすることもあったからです。
人々は、「狐が体のどこかに入り込み、この人の体を使って食べているのだ」と考えました。このような状態を「狐づき」と呼び、狐を追い出そうとして、加持や祈祷をすることもありました。
今から考えれば、病気による心身の変化であったのかもしれません。
出典:『大井町史 別編 民俗』※掲載スペースの都合上、一部を省略しています。 挿絵:こるり(学びおおいサポーター・町内在住)
