羽島市長 松井 聡
デジタル教科書や人工知能(AI)の活用が、学校教育で進んでいます。6月には、パソコンやタブレット端末で使用するデジタル教科書を正式な教科書とする改正学校教育法が成立。2030年から、小中高校で使用される見通しです。
授業におけるデジタル端末利用は、第一段階の「日常化」において端末を使ってみて、教師らが活用のアイデアを広げる。第二段階では端末を使い続け、紙媒体のワークシートとICTを組み合わせた効果的利用を追求し、デジタルならではの利用方法を探る。第三段階では、新たな学びの機会を探るため児童生徒が主体となり、端末の利用にとどまらない学習のあり方に取り組める環境を整え、授業情報を共有するとされています。
2023年に行われた大学生を対象とした、書字と読書における使用メディアについてのアンケートでは、ふだん本や新聞・雑誌を読まないと回答した大学生が20%。大学の講義内容を記録しないとの回答が10%に上ったそうです。このような「読まない」「記録しない」と回答した大学生の高校卒業相当の国語問題正答率は、無作為に回答した正答率と同水準にあり、文章内容が理解できていないという結果となっています。
読解力低下の要因は、書籍に記された長文を読んだり、講演内容を書き取るような習慣が大きく低下していることが考えられます。
その一方、インターネットで氾濫している大量の情報や動画を安易に受け入れたり、SNS上の短絡的なやり取りを受信し、事の正否を正当に把握しない風潮が多世代に及んでいることが危惧されます。
デジタル教科書の利点は、文字サイズを任意に変えられることが挙げられます。その半面、紙の教科書のように個々の記述が一定の構成によってまとめられ、順序だった理解につながる整理はなされていません。
生成AIに関しては、文部科学省が2024年に利活用に関するガイドラインを改定。慎重な対応を求めながら、資質や能力の育成に向けて適切に生成AIと向き合い、利活用できるようにとの方針が出されました。
しかし、識者の多くは、現状のAIは「生成」するものではなく、既存データを「合成」する機能しかないと断じています。利用者に共感性を示し、その考え方を正当化しようとする偏向性や先入観を助長しているとの指摘もあります。
カリフォルニア大学バークレー校の法科大学院では、8月の新学期から単位取得のための論文課題や試験でのAI利用を禁止。AIを使った論文の下書きや、それに伴う構想立案等の下準備についても認めないと公表しました。AI利用から陥る弊害を的確に捉え、諸外国の対策に立ち遅れない議論の迅速化を願います。
