羽島市長 松井 聡
近年の人口減少や少子高齢化は、地方の医療需要に大きな影響を及ぼしています。患者さんの数が減少する一方で、高齢者の方に偏在する疾患への対応が増加しています。
このため厚生労働省は、2015年医療法改正の施行により、時代に則した医療提供体制の整備を図るため、中長期的方針となる地域医療構想制度を創設。さらに今年7月にはガイドラインを発出し、新たな地域医療構想の策定を推進しています。
地域医療構想は、都道府県が将来にわたる圏内の医療需要を見通し、地域ごとの必要病床や医療機能を定めた医療体制を構築する内容です。従前の地域医療構想では、医療圏ごとに2025年の人口予測等を用いて医療需要を予測。高度急性期、急性期、回復期、慢性期等の機能ごとの必要病床数を算定し、地域内の機能別病床数を目標値として設定していました。
しかし、目標年次の2025年の病床必要数に対する進捗は、構想通りにはなりませんでした。病床機能別の達成率は、高度急性期24%、急性期49%、回復期33%、慢性期88%であり、慢性期病床のみが目標値に近い進捗でした。
この原因は、機能別病床数の調整に関し、都道府県や地域医療構想区域ごとでの調整に委ねたことが要因であると考えられます。法律上は、都道府県が実施主体と定められていました。しかし予算や権限、実施等の責任の所在があいまいであり、補助制度や優遇税制・優遇融資等も十分とはいえない状況でした。
新たな地域医療構想では、未達となった課題は改善できるでしょうか。
団塊の世代は2025年以降75歳以上となり、2040年には85歳以上の人口や独居高齢者の方が増加し、入院患者数がピークを迎えると予測されています。
一方、2040年の生産年齢人口は、地方都市で19%、過疎地域で28%減少。看護人材の基となる18歳人口も、33%減ると見込まれており、医療人材や在宅医療の維持も難しくなってきます。
コロナ禍以降、羽島市民病院を含めた自治体病院だけではなく、民間病院の経営悪化も深刻化しています。人件費をはじめ、物価、委託費、施設改修費等が高騰。今後の電子カルテ更新、サイバーセキュリティ対策等のデジタルトランスフォーメーション投資も、経営の重しとなります。
市民病院は市内唯一の救急病院であり、急性期、回復期の患者さんの治療を担っています。岐阜地域は岐阜大学医学部附属病院、岐阜県総合医療センター、岐阜市民病院、松波総合病院等、多くの先進病院があります。今後とも、それらの病院と機能分担を図りながら、市民の皆様の命を守る医療を提供してまいります。
