CoIUが目指す学び
飛騨地域初となる4年制大学「コー・イノベーション大学(CoIU)」が飛騨市を拠点に開学し、4カ月あまりが経ちました。
経営学・経済学を中心に、地域文化や社会課題、データサイエンスなど幅広い分野を学びながら、地域の人々やその営みに深く関わり、ともに汗をかきながらまっすぐ向き合うことで、これからの地域や社会のあり方を考えていく新しい学び「共創学」が特徴です。
対話を重ね、多様な価値観に触れながら、自らの考えを深め、新しい価値を生み出し、先の見えない世界をたくましく生き抜く力を培います。
一方で、いまだ発展途上にある「共創学」。教職員も学期ごとに教育や成果を振り返りながら改善を重ね、より良い「共創学」の実現を目指して、日々試行錯誤を続けています。
主体的に学び続ける学生が集まりました
開学初年度、全国各地から第1期生が飛騨市へ集いました。まだ実績のない大学への入学を決めた学生たちは、それぞれのやりたいことや目標をしっかりと持っています。小学生や高校生のころから独自の取組みを始めるなど、非常に行動力があり、個性豊かな学生が在籍しています。自らの得意なことや関心のあることに主体的に向き合い、学び続けようとする学生たちが集まりました。
学生の多くが市内に住み、学びながら課外活動として地域のさまざまな営みに参加し始めています。将来を見据えて経験を積むためにアルバイトを始めたり、地域の困りごとを助ける「ヒダスケ!」や子ども食堂の活動に参加したりするなど、それぞれが地域との関わりを広げています。地域の皆さんに見守られながら成長する学生の姿と、学生と地域が関わり合うことで生まれはじめている変化をお伝えします。
新しい視点から飛騨市の魅力を知る
池田農園 池田俊也さん
■どのように関わりましたか?
「再生ヒダスケ!」で荒れ地の除草、サトイモの植え付け、イチゴの太陽熱消毒で栽培床をビニールで覆う作業などを一緒にしました。
■関わってみてどうでしたか?
奇抜な子が多いイメージを持っていたんですが、会ってみると普通の子。一生懸命だし、頼りになりました。ただ、飛騨へ来て間もないので、まだまだ自己開示ができず、おっかなびっくりにも見えました。地域の人と交流を深めるのは、大学の趣旨にも合っていることだと思うので、自分の感じたことをもっと素直に表現できるといいのでは。
■これから期待することは?
地元の人間は、あまりに身近にありすぎて「飛騨の魅力」に気づかず、悲観的になりがちかもしれません。私たちの飛騨に対する見方に大学生の視点が加わり、新しい価値に気づくことができると、飛騨市ならではの可能性も生まれてくるのでは。「過疎」などのさまざまな課題を前向きにとらえて未来をつくるようなアイデアを出してもらえるといいですね。
まちに新たな活気を
黒内果樹園 天木政彦さん
■どのように関わりましたか?
ヒダスケ!で、大学生2人に電柵のポール立てや位置決めを、もう1人には桃の摘果を一緒にしました。
■関わってみてどうでしたか?
古川の町なかから黒内まで自転車で来たり、細江の駅から歩いてきた子もいて、とにかく元気。髪の毛が真っ赤な子もいてびっくりしたけど、悪ぶってもいないし、話してみると気さくで真面目。フットワークもいいし、飲み込みも早い。「アルバイトにおいで」と誘っておいた(笑)。
半日の交流でも「養蜂をやってる」なんて話をしてくれる子もいて、良い意味でこだわりを持っていることは分かったね。
■これから期待することは?
昔は夏休みに、大勢の高校生がここでアルバイトをしたものだけど、今は全然。たまに町なかへ行っても閑散としてる。
だから若い人が増えて、にぎわうといいなあ。ヒダスケ!のことでもいいし、遊んだことでもいいけど、例えば周りの友だちに「黒内は面白かった」と伝えてもらって、関心を持ってもらえれば。
自分の「やりたい!」に向き合っています
滋賀県出身 樋口翼咲さん
■CoIUを選んだ理由
高校時代に植物の魅力、そして植物を通した地域の魅力に触れてもらうためのプロジェクトに取り組んでおり、こうした活動を事業化したり採算がとれるようにして社会に通用する形にできるような学びを希望していました。そこでCoIUのホームページを読み、開学の思いに共感できたことが大きいです。
■入学しての印象は?
学生みんなに芯があって、自分の意見を持っているなと感じました。対話でも「自分はこう思う」というのをはっきり持っています。
■入学して約4カ月。どんな学びがありましたか?
地元とは植生が全然違うし、こっちは地域の方々と植物の距離が近いですね。おばちゃんたちと一緒に山菜を採って料理してもらうといった会にも参加したりして、つながりができ、世界が広がったなという感じがあります。
■今後の目標や、将来挑戦したいことはありますか?
古澤さんと「あわいの森」というカフェを立ち上げる計画を立て、実行に移しています。「余白」をキーワードにした新しいコンセプトのカフェで、私は野草を使ったメニューの試作に取り組んでいます。いろんな人が集ってつながり、自分の軸に立ち返ることができるような場所にできたらと思っています。
福岡県出身 古澤琴子さん
■CoIUを選んだ理由
高校時代、こうぞと廃棄野菜の繊維をともに漉いた和紙を作り、その和紙を使ったアップサイクルプロジェクトを始めました。和傘や和紙のインテリアを使用した空間づくりを手掛ける中、偶然インスタにCoIUの情報が流れてきて。実際に現場に出て当事者と同じ目線に立ち、実地的な学びができるCoIUがすごく魅力的でした。大人の皆さんが新しい学びを追究し、もがいている姿にも感銘を受けました。
■入学しての印象は?
少人数制の授業で、生徒1人ひとりと向き合い、個々の価値観を大切にしてくださいます。入学後、自己・他己紹介に1カ月を費やしましたが、私は「人を知る」ことがすごく大事だと思っているので、とても有意義な時間でした。生徒がみんな本気で向き合い、葛藤しあっている空間やプロセスを共有できて良かったと思います。
■入学して約4カ月。どんな学びがありましたか?
いろんな人と交流し、現場を体験することで、どんなことが起きても状況を俯瞰的にとらえて対応し、すべて自分の成長につなげるという学びのサイクルができました。
■今後の目標や、将来挑戦したいことはありますか?
地域活動に参加して、いろんな人とつながりながら「あわいの森」オープンに向けて準備を進めています。五感の要素をもっと散りばめた、効率でははかれない、豊かな空間づくりに挑戦したいです。
学生へ温かいまなざしを
CoIU職員 茂利麻衣さん(神岡町出身)
CoIUでは、教室で知識を学ぶだけでなく、地域の中で人や文化、暮らしに触れながら、一人ひとりが自分の問いと向き合っています。学生たちは身近にある地域の課題に向き合い、それぞれの視点から地域と関わりながら、答えのない問いや課題に対する糸口を、多様な角度から探し続けています。こうした学びは、地域の皆さんとの出会いや何気ない会話、日々の関わりがあってこそ深まるものです。学生を見かけた際には、ぜひ温かく見守り、ときには気軽に声をかけていただけるとうれしいです。地域の皆さんとともに、飛騨から新しい学びを育んでいければと思います。
