まだ知らない町の魅力を食卓へ

佐志地区の山中にたたずむ静かな工房。ひんやりとした作業室を覗くと、真摯に命と向き合う姿が見られます。今回は、佐志地区のジビエ加工場「さつまのジビエファクトリー」を運営するダブルビーゼット株式会社の馬場添佳さんを訪ねました。
東京都出身の馬場添さんは、学生時代から海外旅行が好きで、昆虫や辛いものなど、知らないものを発掘するのが好きだったと言います。社会人になってからはワニ肉やサメの心臓など、一般的に食べることがないものを調理し食べるのが好きだったそうです。大学卒業後、証券会社やベンチャー企業を経て、2018年に起業。そんな馬場添さんの奥さんの故郷は鹿児島県。会社の事業の関連もあり、2021年に鹿児島県へ移住しました。
「移住当初は就農を検討していましたが、深刻な鳥獣被害と、捕獲された動物の多くが廃棄されている現状を知りました。その命を無駄にせず生かす方法がないかと考え、この事業を始めました」さつま町に拠点を置くきっかけとなったのは、人とのつながりだったと語る馬場添さん。製造した商品はインターネット販売のほか、町内の飲食店、東京や大阪などのレストランにも提供されています。「ご家庭でも調理しやすいように、丁寧に処理を行っています。初めての方におすすめしたいのはイノシシ肉です。豚肉に比べ脂がさっぱりしており、塩コショウで焼くだけで絶品です」と笑顔で教えてくれました。現在は狩猟免許を取得し、自ら商品を手掛ける馬場添さんに今後の展望を伺いました。
「鹿児島は食の宝庫です。ジビエに限らず、町に眠る地域資源に光を当て、新たな価値を生み出すことで町を元気にしていきたいです。また、自分たちが手掛けた食材を直接味わっていただけるようなレストランの運営にも挑戦していきたいです」命を大切にする馬場添さんの挑戦が、さつま町の新たな名物を生み出します。


起業家 馬場添 佳(ばばぞえ けい)さん(41)
東京都出身。家族4人で鹿児島市に住む。料理やワインが趣味で、好きなジビエはイノシシ肉。工房では店頭販売も可能。
