シリーズ182
市内には、国や県、市が指定した文化財がキラ星のごとく光り輝いています。このコーナーでは、数ある文化財の中から代表的なものをシリーズで紹介します。
滋賀県指定文化財 鶏足寺 十所権現像
指定日:昭和58年3月28日
木之本町古橋にある己高山は古くから山林修行の地として、数多くの寺坊があったことが伝わっています。明治から昭和にかけて己高山周辺の寺院は無住となりました。現在堂塔を持った寺院としての鶏足寺は存在しませんが、新たに古橋地区の方々によって建てられた「己高閣」、「世代閣」に己高山の文化財を集めました。
本像は、古橋区の与志漏神社後方の山中にある十所権現社に祀られていました。それぞれ、日吉大宮(猿猴像)、横山大明神(馬頭観音坐像)、世代大明神(如来形坐像)、伊香具大社(地蔵菩薩坐像)、熊野大権現(如来形坐像)、八幡大菩薩(如来形坐像)、白山大権現(十一面観音坐像)、揵部大明神(聖観音坐像)、金峯山権現(蔵王権現坐像)、日吉十禅師(僧形坐像)の名称があります。
それぞれ針葉樹の一木から彫り出され、平安時代末期から鎌倉時代初期のころに作られたと考えられています。応永十四年(一四〇七)に書かれた『己高山縁起』には、己高山が仏教で栄えたことを伝え、十所権現が己高山の鎮守として勧請されたことを記しています。猿猴像を除いた尊像が仏や僧の姿をしており、権現や明神などの名称があてられることから、神が仏の姿を借りて現れる「本地垂迹」という考えにもとづいて作られた尊像と推定されています。こうした尊像を本地仏と呼び、通常の仏像とは異なることを示すため、本像のように身体や後頭部などをあえて簡素な仕上げにしていることが特徴といえます。
本像は己高山縁起と合わせて中世の神仏混淆の世界を彫像で表している点において、貴重な作例といえるでしょう。
■問合せ
長浜城歴史博物館 ☎63・4611
