
鈴鹿山脈から琵琶湖まで、森里川湖(もりさとかわうみ)のつながりを有する本市の56パーセントは森林で占められています。森林は暮らしを支える重要な資源であり、その資源を持続的に利用するために、さまざまな知恵や習俗が発達しました。このように、人と森林が共生する中で形成されてきたものを市では「森の文化」と呼んでいます。
また、森林は、森里川湖のつながりの原点であり、ここに降った雨が川となり、あるいは地下水となって琵琶湖に到達します。森林が育んだ「水」は、古くから広大な市域に恵みと潤いをもたらしてきました。
森林との関係性の希薄化
戦後の高度経済成長に伴う生活様式の変化や燃料革命は、豊かな森の文化が育まれていた社会に大きな転換をもたらしました。燃料革命は、家庭の燃料に使用されていた薪や炭から石油やガスなどの化石燃料に急激に置き換わったことを言います。さらに、現在人工林の多くが木材の利用に適する成熟期を迎えていますが、十分な手入れや活用がされないところもあります。
このように、人が森林に関わる機会が減り、人と森林が共生するバランスが崩れると、森林地帯のみならず流域全体にさまざまな影響をもたらします。
例えば、シカの生息数が増えたことにより、下草が食べ尽くされ表土の露出した斜面が増加しています。ここに大雨が降ると、森林の保水機能に欠かせない森林土壌が流出し、雨水が短時間で下流へ流れやすくなることなどが危惧されます。
人と森林の関わり方を考える
森里川湖のつながりの原点である森林で起きているさまざまな問題は、将来的に、流域全体へと大きな影響を及ぼすことが懸念されます。こうした課題を解決するためには、自然環境の保全に加えて、「森の文化」のあり方を見つめ直すこと、すなわち現代に適した人と森林の関わり方を考えることが必要です。
そのことが森林を守り、さらには流域全体の保全にもつながるという強い思いを込めて、令和8年4月に「森の文化推進条例」を施行しました。
森の文化推進条例と森の文化フィールドミュージアム
さらに、この条例の取組を実践・展開する中心的な区域として「森の文化フィールドミュージアム」を位置付けました。この区域は、愛知川の上流を流れる御池川・茶屋川・神崎川の3つの川の流域の一部を含み、その広さは約3800ヘクタールと、本市域の約10分の1を占めています。
この区域を中心として、まだまだ分からないことが多い森林をはじめとした自然環境や森の文化に係る調査を行うことで、それらの保全・活用につなげていくとともに、流域全体を視野に入れた取組を力強く推進し、「人と自然が共に生きる持続可能な社会」の実現を目指します。



森里川湖のつながりを有する本市だからこそ
森里川湖のつながりの原点にあるものが森林であり、森林を適切に活用することが、流域全体に恩恵をもたらします。このつながりを分かりやすく伝える一つとして、森林からの表流水や地下水の流れを可視化したものを今年度中に能登川博物館で公開する予定です。
今後、市では森の文化に関する過去の知恵や知見をいかしながら、大学や研究機関などと連携し、森の文化フィールドミュージアムの区域を中心として流域全体の課題解決につなげる手法を検討していきます。
このように、人と森林との関わりを見つめなおし、流域全体を視野に入れた政策は、源流域の森林から河口までを一つの市域に含む東近江市だからこそできる取組で、同じような課題を抱える全国の自治体のモデルとなるよう取り組んでいきます。
問合せ:森の文化推進課
IP 050-5802-5567 TEL 0748-24-1457
森と木地師文化を次代へ
国土の約7割を森林が占める我が国では、古代から森の恵みを受け、人と森林が共生してきました。その象徴が「木地師(きじし)」です。木地師とは、ろくろと呼ばれる工具で、トチ・ブナ・ケヤキなどから椀や盆などの木地を作る職人のことを言います。かつて木地師は、良木を求めて全国各地に移動し、森の恵みを受け、同時に森を適正に管理することも担っていました。
しかし、社会の変化や価値観の多様化などによって、木地師を取り巻く環境は一変し、後継者の育成、原材料の入手、販路をめぐる問題など、さまざまな課題が山積する中、安価な外材の流入や燃料革命によって人と森との関わりが希薄化し、全国各地で森林の荒廃が進んでいます。その結果、森林はその資源力を失うとともに、環境の多様性の低下や自然災害の多発など、私たちの生活基盤を揺るがす深刻な社会問題となっています。
そこで、全国の木地師にゆかりのある15自治体が東近江市に集結し、木地師文化発祥の地である本市が中心となって、広域的な連携を深めるため、11月14日㈯に木地師サミットを開催します。木地師文化の継承や木地産業の持続的な発展、森林資源の適切な活用と保全など、それぞれが抱える課題を共有するとともに、自治体間の連携を深め、課題解決に向けた取組を推進することを目的としています。
木地師サミットを開催します
| 日時 | 11月14日㈯ 13:00~17:00(12:30開場) |
|---|---|
| 場所 | 八日市文化芸術会館 |
| プログラム |
|
参画15自治体
- 宮城県白石市
- 福島県会津若松市
- 新潟県糸魚川市
- 石川県加賀市
- 福井県鯖江市
- 長野県木曽郡南木曽町
- 岐阜県揖斐郡揖斐川町
- 神奈川県小田原市
- 岡山県真庭市
- 岡山県美作市
- 滋賀県高島市
- 滋賀県蒲生郡日野町
- 滋賀県東近江市
- 三重県度会郡大紀町
- 和歌山県海南市
一般観覧者を募集します
サミットのライブ中継と東近江創作ミュージカル「惟喬親王(これたかしんのう)伝説」サミットバージョンを文化芸術会館で観覧できます。ぜひ応募してください。(サミットのライブ中継は市公式YouTubeでも配信します。)
※ミュージカル観覧者は15:00までに着席してください。
| 定員 | 400人(申込み多数の場合は抽選) |
|---|---|
| 費用 | 無料 |
| 申込方法 | 10月14日㈬までに申込みフォームから申し込んでください。 |
| 問合せ | 企画課 IP 050-5801-5610 TEL 0748-24-1457 |
※11月7日㈯、8日㈰に公演される「再演・惟喬親王伝説」は、八日市文化芸術会館に問い合わせてください。
森の文化に係る取組を紹介します
調査および調査成果の発信


本市では、令和3年度から「森の文化資源調査」として自然、民俗、歴史、木地師分野などの調査を行っています。
調査結果は、イベントでの発表や調査報告書の発行などを通じて発信しています。
自然分野の調査では、植生調査をはじめとして一部の森林にセンサーカメラを設置し、鈴鹿の森の生態系調査を実施しています。
大学連携

本市と包括連携協定を結ぶ龍谷大学は、令和8年3月17日、東京都内で共同の記者発表を行い、瀬田キャンパス(大津市)に令和9年度、2つの学部を新設することを含めた新たな構想を発表しました。
この中で本市の「森の文化フィールドミュージアム」を研究フィールドとすることを表明しました。
動画やマップで取組内容を紹介

鈴鹿の森の自然や文化の魅力を動画にして市公式YouTubeにアップしています。ほかにも能登川博物館での展示や鈴鹿の森の資源のデジタルマップ「鈴鹿の森マップ」を市ホームページで公開するなど情報を発信しています。
鈴鹿の森魅力発見シリーズ
森の自然と歴史文化の魅力をいろいろな角度から伝えるため、森の文化フィールドミュージアムとそのつながりのあるエリアにおいて、さまざまな体験活動や調査研究活動を実施しています。
アユのふるさとを守ろう!「河床耕耘(かしょうこううん)体験」を実施します
日時:9月19日㈯ 10:00~12:00
詳しくは市ホームページを確認してください。
– YouTube
木地師サミット観覧申込フォーム
木地師サミットを開催します|東近江市ホームページ
鈴鹿の森マップ|東近江市ホームページ
アユのふるさとを守ろう!「河床耕耘体験」を実施します|東近江市ホームページ
森の文化資源調査報告書|東近江市ホームページ
東近江市公式YouTubeチャンネル – YouTube
