『守る農業』と『稼ぐ農業』~東伊豆町の農業を未来へつなぐ~
近の物価高や国際情勢の緊迫化に伴う食費の高騰は、私たちの暮らしを直撃しています。その背景の一つにあるのが、カロリーベースで38%という日本の食料自給率です。世界の出来事が、直接私たちの食卓に影響を及ぼす時代だからこそ、「自前の食料」を守り育てる重要性が、これまで以上に高まっています。
米国産生ジャガイモの輸入解禁に向けた動きも、そのことを考えさせます。安価で安定した供給が期待される一方、国内に未発生の病害虫が持ち込まれるリスクも指摘されています。資源の少ない日本だからこそ、命をつなぐ食料については、できる限り自ら確保できる力を持つことが必要です。
一方で、農業の役割は、カロリーを生み出すことだけではありません。米やいも類などの普通作物は、私たちの命を支え、食料安全保障を担う農業の「守り」です。一方、野菜や果樹、花きなどの園芸作物は、カロリーベースでの貢献は比較的小さいものの、生産額、つまり「稼ぐ力」という面では非常に大きな存在です。高い付加価値を生み出し、農家の所得を支え、地域経済を潤す「攻め」の農業といえます。
これからの地域農業に必要なのは、「命を守る農業」と「地域を豊かにする農業」の両方です。どちらか一方に偏るのではなく、地域の特性に合わせてバランスよく育てていくことが重要です。
しかし、日本の農業は高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加という大きな課題に直面しています。こうした中で、空いた農地を活かし、米やいも類など地域の食料を支える作物を育てるとともに、付加価値の高い園芸作物を生産し、加工やブランド化によって地域にお金が循環する仕組みをつくることも必要です。
そして東伊豆町には、すでに全国に誇ることのできる素晴らしい園芸作物があります。温暖な気候と豊かな自然の中で、先人たちが長い年月をかけて育ててきた貴重な財産です。それらを守るだけでなく、さらに生産力を高め、新たな担い手を育て、付加価値やブランド力を磨いていくことが、これからの東伊豆町の大きな可能性につながります。
平時には農業で地域経済を潤し、有事には地域で生産できる食料で町民の命を守る。カロリーベースの高い普通作物による確かな「守り」と、生産額の高い園芸作物による力強い「攻め」。この二つを適切に組み合わせることこそ、東伊豆町の農業を未来へつなぐ鍵ではないでしょうか。
私たちが誇る農業をさらに育てながら、新たな可能性にも挑戦する。その積み重ねが、町の安全と豊かさを守り、持続可能な東伊豆町の未来をつくっていくはずです。
