大麻銀座商店街 人情味あふれる長屋に、今日も暖かな明かりが灯る

大麻銀座商店街は、昭和43年から続く歴史ある商店街です。「長く続く理由は、変化を恐れない風土のおかげだ」と、大麻銀座商店街振興組合理事長の岸本さんは言います。
全国の商店街は、20年ほど前から大型ショッピングモールが地方に進出したことなどをきっかけに、衰退の一途をたどり、その多くがシャッター街となっていきました。
大麻銀座商店街はその流れを断ち切ろうと、「誰もがチャレンジできる商店街」へと変わる決断をしました。
従来の商店街は生活必需品を販売する店舗が多数を占めていた中、ゲストハウスなど、従来の商店街のイメージとは異なる店舗も仲間に加えることで、新たな仲間とともに成長する商店街になりました。
そんな挑戦し続ける商店街に、1月7日、火災が襲いかかりました。雪景色の中で燃えていく数々の店舗。商店街の一角が全焼する大きな火事でした。それでもなお、火事からの再生を目指しながら、時代に合わせて変わり続ける商店街。そこで奮闘する方々に話を聞きました。
☎ 381-1009 広報広聴課
Interview
大麻銀座商店街に新しい風を吹き込むために「SROG(スロッグ)」を立ち上げた橋本正彦さんと、SROGにアトリエ「とりむしさかな」を構えて活動していた秋元さなえさんに話を伺いました。(SROGは火事で焼失)
大麻銀座商店街でのチャレンジ

大麻銀座商店街 専務理事
橋本 正彦(はしもと まさひこ) さん
大麻銀座商店街をチャレンジできる場へ変革させるキーマン。若手の創作活動の支援も行う
大学生が活躍する商店街
私が大麻銀座商店街に拠点を置いたのは、独立して活動を始めた2013年のことでした。「江別港(えべつこう))」という場所を立ち上げ、大学生がまちでフィールドワークをするための拠点を作りました。
江別市には、およそ1万人もの大学生がいますが、市民と大学生の間には、どこか見えない壁があるように感じていました。この壁をなくし、市民と学生が自然に交流できる仕組みをまちに根づかせたい。そんな願いを込めて、江別港を始めました。
大学生が短編映画を制作したり、自分が作ったものを販売したりすることを、この商店街で実現できました。商店街と大学生が、少しずつ溶け合っていくような手応えがありました。
「日本最北のブックストリート」としてスタート
また、この商店街のメインイベントの一つとして、「ブックストリート」を、読書環境の格差解消に取り組む団体 「北海道ブックシェアリング」と一緒に企画しました。古本を1冊100円で販売したり、お気に入りの本を紹介しあうビブリオバトルをしたりする人気イベントでした。
このイベントを毎月開催することで、「大麻銀座商店街は勢いのある商店街だ」というイメージがつき、メディアに取り上げられることが増えました。おかげで大麻銀座商店街を訪れる人も増え、ブックストリートは合計100回以上開催することができました。
この活動を知り、新たに仲間が加わるという流れもでき、そこから今の「誰もが挑戦できる商店街」という印象が強くなっていった気がします。

これまでとこれから
私がこの商店街でチャレンジできたのは、以前理事長を務めていた八島(やじま)さんから受け継がれている「何でも受け入れる風土」のおかげです。そのおかげで思い切って挑戦することができましたし、それに呼応して若者がこの商店街に入ってきてくれたんだと思います。これからも商店街の一員として、私よりも若い世代が挑戦できる商店街にしていきたいと考えています。
その一歩として、始めたのが「SROG」です。1階にはアーティストのギャラリーを、2階には4人のクリエイターの活動拠点を整え、新たなスタートを切りましたが、その矢先に火事に見舞われてしまいました。
メンバーの中には、今もまだ活動する場所を探しながら、何とか活動を続けている人もいます。また若手が活動拠点を商店街に置けることを願っています。

Pick up Creator

美術家、絵画造形教室講師
秋元 さなえ(あきもと さなえ) さん
私のアトリエ兼絵画造形教室「とりむしさかな」は、子どもたちが自由に何でものびのびと創造力を育て創作できる居場所です。
私がこの商店街でアトリエを開いたのは「江別港」にあったカフェ「麺(めん)こいや」がきっかけです。江別港に通ううちに、若い人でも受け入れてくれそうな雰囲気に惹かれました。
「ランタンナイト」で使用されたランタン(表紙左下)は、子どもが作りやすいものをと思い、私が提案したものです。商店街の中の一店舗として、イベントの力になれてうれしいです。

Interview『新たなチャレンジ × 火事からの復活』
人と心が寄り合う居場所をつくりたい

フォトグラファー 奥平 啓太(おくひら けいた)さん
元々、私はイベントの撮影で何度かこの商店街を訪れていました。火災から間もない2月に、何か力になれればと「大麻銀座商店街復興支援チャリティーコンサート」を企画しました。その中で商店街が数多くの方に愛されていることを実感し、人の温かさにたくさん触れました。そこで今度は自分も商店街の中に入って貢献したいと考えました。
火をきっかけに、優しく寄り合う居場所になるようにとの願いと、穏やかな響きから「HIYORI(ひより)」と名付け、この商店街に誰もが集まれる場所づくりのプロジェクトを立ち上げました。
そんな時、商店街の方に「この建物の1階でライブハウスをやってみたら?」と提案してもらいました。すぐに「やりたい!」と返事をして、本格的に動き出しました。声を掛けてくれた方にも仲間に加わってもらい、1階はライブハウス・カフェ、2階は学習塾、3階はクリエイティブスタジオになる建物として、10月1日に新たなスタートを切る予定です。オープンした際は気軽に立ち寄ってくれるとうれしいです。仲間たちと積んだれんがの壁をぜひ見に来てください。
商店街に本格的に関わるようになってから、この商店街の皆さんには「仲間」という言葉がよく似合うと思うようになりました。私もその一員に加われることにワクワクしながら、「HIYORIプロジェクト」に奮闘中です。

火災で燃えた「後楽園」 後押しを背に、再開へ向けた一歩を

焼肉後楽園 店主 石元 雅人(いしもと まさと) さん
後楽園は昭和54年4月に開業しました。人気だったメニューはホルモンです。たれで下味をつけ、食べる時は下味とは別の「シャバシャバのたれ」をつけて食べるのが特徴です。どのメニューもお腹一杯食べてもらえるようボリュームたっぷりで提供していました。
まさか火災で店舗が燃えるとは思ってもみませんでした。
焼け落ちるのを見た時には「もうこれはだめかもしれない」と思い、膝がガクッと折れました。そんな中、火事で焼け残った看板に明かりがついたんです。それを見て「もう一回、この場所で店を営業したい」と強く思いました。
そこから商店街の皆さんにも協力してもらいながら、再スタートの計画を進めています。
火事の後、6月に開催された商店街のイベントで、私がホルモン串を販売することになりました。正直、売れるのか自信が無く、「これくらいなら売り切れるかな?」と控えめな量のホルモンを準備しました。予想に反して、ホルモン串は1時間足らずで完売しました。
ずらっと並んだお客さんを見ると、込み上げるものがありましたが、とにかく無心でホルモンを焼きました。常連さんからの「またお店待ってるからね」という言葉や、再開を待ち望む手紙をもらい、本当にうれしかったです。
この商店街でまたお店を開いて、皆さんに自慢の焼肉を食べてもらう日が待ち遠しいです。

焼けた場所の向かいで再開 子どもの声が響く商店街の元気印

みんなのいえ 代表 鈴木 律子(すずき りつこ) さん
「みんなのいえ」は、放課後児童クラブです。近所のお母さんたちが、地域の子どもを見守ろう、と集まっている場所です。
「みんなのいえ」を始める前から、ママカフェや映画の自主上映会などで商店街を利用していて、当時から「人情味あふれる大麻銀座商店街っていいな」と感じていました。
子どもたちには、多様な人たちに囲まれて、地域の中で成長してほしいと思っていたので、ここはぴったりな場所だと感じ、2019年に「みんなのいえ」を開設しました。
最初は少し不安もありました。登下校中の子どもたちが、店舗の自動ドアの前に立って開け閉めをしたり、店先のガラスに触れたりと、いたずらをしてしまうことがあったんです。それでも商店街の方は温かく見守ってくれて、「おかえり」「いたずらするなよ」などと声を掛けてくれました。
また、火事で「みんなのいえ」が燃えてしまった後に「子どもたちの声が聞こえなくてさみしい」と声を掛けてもらいました。いつも迷惑ばかりかけていたと思っていましたが、実は商店街の元気印のような存在だったのかなと、少しうれしくなりました。
「みんなのいえ」は、多くの方が再開に向けて協力してくれたおかげで、火事で燃えた場所の向かいの建物に、半年後に再開することができました。本当に感謝しかありません。これからは、火事の影響で足踏みしている「中高生の居場所支援」にも力を入れて取り組んでいきたいです。

利用者から店主へ 人の縁を「むすぶ」おにぎり屋さん

おにぎりカフェむすび 店主 舟田 智子(ふなだ ともこ) さん
私は元々この商店街の利用者でした。今と違って、昔はおもちゃ屋さんや本屋さんなどがあって、よく子どもと買い物に来ていました。今は時代の流れとともに、どんどんお店も変わってきたと感じています。
スーパーが商店街の中にあって、商店街にお客さんを引き留める重要な役割を担ってくれていて感謝しています。
そんな昔からなじみのある商店街で、新しい挑戦ということでお店を始めて、今年で3年目になります。
還暦を過ぎてから店舗を構えたので、無理のない範囲で、仲の良い友人に手伝ってもらいながら、楽しくお店に立っています。来店してくれたお客さんとお話しするのも楽しみの一つです。
お店ではおにぎりだけでなく、自分の大好きなソフトクリームも提供しています。お勧めはブレンダーソフトといって、凍らせたフルーツとソフトクリームをブレンドさせた、珍しいソフトクリームです。
お店を出すに当たっては、商店街の方々がいろいろサポートしてくれました。ウエルカムな雰囲気で、とてもうれしかったです。
ここの商店街はとても愛されていると思います。火事の後に多くの方が炊き出しをしたり、お客さんがうちで食事したおつりを募金箱に入れてくれたりしました。
時代が変わり、生活必需品を買えるお店は減っても、ここの商店街への愛着は、みんな変わらないんだと思います。

Original MAP 大麻銀座商店街を歩く

マップ掲載店舗
大麻銀座商店街:Instagram
ゲニウス・ロキが旅をした
セミナーの開催もしています。江別の食材で作ったランチプレートが看板メニュー。
定休日:火、水曜日
Patisserie Ruelle(パティスリー リュエル)
社会福祉法人ゆうゆうが運営するスイーツ店。シュークリームは甘さ控えめでさっぱり。
定休日:月、日曜日
いちかわ
月替わりのランチメニューを提供しています。上品な定食や話題のスイーツが食べられます。
定休日:月、火、日曜日
宝来軒(ほうらいけん)
江別のお菓子「大(おお)ちゃん麻(あさ)ちゃん」が買える和菓子のお店。お土産にぴったり。
定休日:元日、不定休
moonlit-studio(ムーンリット スタジオ)
職人が、使う人に寄り添ったオーダー家具やオリジナル家具を作成します。修理も受け付け。
定休日:不定休
その他の掲載店舗・施設
- おにぎりカフェ むすび
- 寄り合う居場所 HIYORI
- 写真店 ビーショット
- 自転車店 サイクルセンター マツバラ
- 美容院 Hair&Make’s LIBERTY(リバティ)
- スーパーセンター TRIAL(トライアル) 江別大麻店
- 大麻第二住区会館
- 釣具、カフェ、アクセサリー FromNorthShore(フロムノースショア)
- 寝具、介護・福祉用具 岸本ふとん店
- スナック BENI華(べにか)
- プログラミングスクール SUNABACO(スナバコ)江別
- 地域交流スペース 放課後デイサービス わたなべストア
- 放課後児童クラブ みんなのいえ
- お茶屋 たかの園
- そば処 狐狸庵(こりあん)
- ヘアサロン ラ・フェ
- 犬の美容室 あべる
- アトリエ とりむしさかな
わくわくする商店街

大麻銀座商店街振興組合 理事長 岸本 佳廣(きしもと よしひろ) さん
この商店街には、約10年前にできた「どんな人でも挑戦できる場所にしよう」「地元の人の役に立つ商店街になろう」という二つのスローガンがあります。そこからイベントなども積極的に開催し、「あそこに行けば何かやってるぞ」と思ってもらえる商店街になっていきました。人がたくさん集まって、みんながイベントを楽しむ姿を見れて私もうれしいです。
イベントだけでなく、それぞれのお店には、そのお店にしかない特色があります。ぜひ一度、大麻銀座商店街に来てみませんか。
平日の午後なら、きっと元気な子どもたちが出迎えてくれますよ。
編集後記
みんなが口をそろえて「この商店街はあったかくて好きだ」と言っていた。
私も、何度か訪れるうちに、この商店街が好きになった。「こんにちは!また来てくれたんだね!」という温かい声で迎えられる。「今日は暑いですね〜」「アイス、食べて行きな」のように自然と会話が弾む。大麻銀座商店街に新たな仲間が加わり続けるのは、こういった優しさと人情味をみんなが持っているからなんだな、と感じた。
ランタンナイトの撮影に行った日、少し肌寒くなった夜空の下で食べた商店街特製のとん汁は、今までで一番あったかかった。
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