山住医院 山住 和之
9月1日は「防災の日」です。皆さんは日頃から、非常食や懐中電灯などの備えや、避難所・避難経路の確認はされていますか? 防災を考えるとき、特に高齢の方・持病をお持ちの方に重要なのが「命をつなぐ医療の備え」です。
近年、企業や病院では災害時でも事業を続けるための計画「BCP(事業継続計画)」の策定が進んでいますが、これは私たちの家庭、特に健康管理においても同じことが言えます。災害という緊急事態が起きても、いつもの体調と生活を維持するための備え、いわば「健康BCP」を意識してみませんか。
高齢者の場合、避難生活や環境の変化によって持病が悪化したり、薬が途切れたりする二次被害のリスクが若年層より高くなります。いざという時のために、家庭で今日からできる二つの具体的な対策をご紹介します。
一つ目は「薬のローリングストック(日常備蓄)」です。災害時、かかりつけ医や薬局が開いているとは限りません。薬は「最低でも3日分、できれば1週間分」のゆとりを持てるよう、手元の薬が完全になくなる前に、早め早めの受診を心がけましょう。また万が一に備え、「お薬手帳」は常に持ち歩くか、最新のページをスマートフォンで撮影して記録しておくのがおすすめです。薬の実物がなくても記録があれば、救護所などで同じ薬を処方してもらいやすくなります。
二つ目は「医療情報の見える化」です。被災してパニックになったり、体調を崩して意識がはっきりしていない時、駆けつけた救急隊員や医師に自分の健康状態を正しく伝える必要があります。「かかりつけの病院名」「持病」「緊急連絡先」を書いたメモを用意し、自宅の「冷蔵庫の扉」に貼るか、財布の中に入れておく、または容器に入れて冷蔵庫の中に保管(救急安心カプセルなど)しておきましょう。実は、救急隊員が家の中で確認する場所の一つが冷蔵庫です。ここに情報があるだけで、一刻を争う処置の遅れを防ぐことができます。
「生き延びるための防災」から、その先の「健康に過ごし続けるための防災」へ。過ごしやすくなる9月のタイミングに、ぜひお薬手帳の整理や、冷蔵庫のメモ作りから始めてみてください。
