「もうちょう」ってどんな病気?原因と治療法について
長崎川棚医療センター 外科 徳永 隆幸
「盲腸」という名前は広く知られていますが、医学的な正式名称は「急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)」です。大腸の始まりの部分にある「虫垂」という小さな突起に、細菌やウイルスが感染して炎症が起きる病気です。
初期症状としてよく見られるのが「みぞおちや胃のあたりがなんとなく痛む」、「食欲がない」、「吐き気がする」といった胃腸炎に似た症状です。炎症が進むにつれて数時間から半日の間に痛みが移動し、お腹の「右下」がはっきりと痛むようになり、熱が出ることもあります。右下腹部を押して、パッと手を離したときに強い痛み(反跳痛)がある場合は、虫垂炎が強く疑われます。
かつて盲腸の治療は「手術ですぐに切る」のが一般的でしたが、現在は医療の進歩により治療の選択肢が広がっています。
①抗菌薬による治療(薬で散らす)
炎症が初期段階で、虫垂に破れや強い膿(うみ)の溜まりがないと診断された場合、まずは入院または通院で点滴や飲み薬(抗菌薬)を用いて炎症を抑える治療が行われます。この方法で約90%の人が改善すると報告されています。ただし、治療後に再発する可能性が10~35%ほどあるため、医師と相談して後日改めて手術を検討することもあります。
②手術による治療(虫垂の切除)
炎症が進行している場合や過去に再発を繰り返している場合、または早く確実に治したい場合には、虫垂を切除する手術が行われます。現在は、お腹に小さな穴をいくつか開けてカメラで行う「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術」が主流となっており、傷跡が小さく、術後の回復が早いのが特徴です。
【予防とまとめ】
虫垂炎は、ストレスや過労、便秘、暴飲暴食などが引き金となって、腸内の環境が悪化し、虫垂の入り口が詰まることで起こりやすくなります。普段からバランスの良い食事を心がけ、規則正しい生活を送ることが予防につながります。
「お腹の右下が痛い」、「痛みがどんどん強くなる」という場合は、我慢せずに早めに医療機関を受診するようにしましょう。
