このコーナーでは、病院施設や事業のほか、生活に役立つ“健康豆知識”などを紹介します。
ハイフローセラピー(高流量鼻カニュラ酸素療法:HFNC)について
市立長浜病院 臨床工学技術科
臨床工学技士次長兼RST(呼吸ケアサポートチーム)
草野 信悟
令和4年4月の診療報酬改定で「在宅ハイフローセラピー指導管理料」が新設されました。
これまでは、在宅で行える酸素療法は、通常の酸素療法(在宅酸素療法)と非侵襲的陽圧換気(専用のマスクなどで行う)人工呼吸療法でしたが、この間に位置付けられるHFNCが保険適用となったものです。
鼻カニュラで酸素投与する場合、高い流量で酸素を流すと鼻腔が乾燥して痛みが出るため、毎分6ℓくらいが限界で、その場合投与できる酸素濃度も20~40%にしかなりません。しかしHFNCは毎分30ℓ以上の高流量酸素を流すことができ、十分な加温加湿もかけられるので、鼻も痛くなく、十分な酸素濃度も維持できます。
また、高流量のため気道に軽く圧がかかるため、気道が潰れやすい人は吐き出しやすく、CO2を排出しやすくなります。また、鼻やのどの奥に残りがちな古い空気を、高流量の酸素が常に洗い流してくれます。そのため、有効に換気できる量が増え、楽に呼吸ができる為、体内のCO2も下がります。そして、100%の加湿が得られるため、気道の粘膜が傷つくのを防ぎ、痰の排出を促します。これにより、痰が多い呼吸器疾患の悪化や気道が詰まるのを防ぎます。何より良いのは皮膚に密着しないので痛みがなく、会話や食事もでき、楽に継続できる治療です。
HFNCを実施中に自宅へ退院できる事は多くはありませんでしたが、私たちが介入する事で、HFNCを装着して自宅退院をする人も増えてきました。
今後もさらに湖北地域で高度医療の提供が実現できるように精進してまいります。
■問 市立長浜病院 ☎68-2300(代表)
