市内には、国や県、市が指定した文化財がキラ星のごとく光り輝いています。このコーナーでは、数ある文化財の中から代表的なものをシリーズで紹介します。
長浜市指定文化財
「国友源右衛門家文書 1813点」
- 所在地:個人蔵
- 指定日:昭和63年3月8日
国友源右衛門家は、近江国坂田郡国友村(現在の国友町)の鉄砲鍛冶集団のなかで、副リーダー的存在である年寄脇を務めた家柄のひとつです。
初代・冨岡善右衛門は、天文13年(1544)に鉄砲の鍛錬を行い、元亀3年(1572)、200匁玉大筒を製造しました。織田信長に仕え、その時に名字を国友に改め、信長亡き後は鉄砲御用として勤めたといいます。豊臣秀吉にも仕えたことが伝わります。
その後の歴代当主の中には、象嵌細工の名手である臨川堂充昌(1721~1776)や、国友一貫斎の実弟・源重郎(1780~1845)が養子に入るなど、由緒ある鉄砲鍛冶職人の家系です。
国友源右衛門家文書には、国友鉄砲鍛冶職人たちの生産や生活の様子、集団内の人間関係なども記載されており、さらには臨川堂充昌や親戚筋にあたる国友一貫斎に関する資料など1813点におよぶ古文書などがあります。その中には、最後の鉄砲鍛冶職人である国友覚治郎(1859~1944)に関する文書資料も含まれます。
覚治郎関連の資料群は、特に煙火(花火)に関するものが多く、彼が様々な大会に参加をしたり、審査員を務めていたことがわかります。明治から昭和初期にかけての長浜を中心とした地域で開催された花火競技大会の様子や、長浜市の特徴ある文化財「花火の陣屋」について知ることができます。
当時は、戦争のために、火薬や銃砲に関する様々な法整備が目まぐるしく行われていましたが、そうした中でも趣味の一つとして花火製作を楽しんだ長浜の人々の姿を知ることができる点は貴重です。
■問 長浜城歴史博物館 ☎63-4611
